住宅の定期点検とは?重要性等を一挙公開
目次
定期点検の重要性
新築でも点検は必要
長く暮らしていると家は少しずつ劣化していきます。そのため、古くなってきたら点検を実施することは非常に大切です。ただし、だからといって新築であれば問題ないというわけではありません。そう言われても、建てたばかりなのに点検するのは時間と費用の無駄だと思う人も多いでしょう。たしかに老朽化というには早すぎる時期ですが、先入観によって重要性を見落とさないようにしてください。甘く見た結果、大きな損失につながる可能性があります。新築でも点検は必要であることを理解しておかなければなりません。
家の劣化するスピードはさまざまな要因によって変わってきます。たとえば、まったく同じ仕様の家でも日差しの強い地域と弱い地域とでは、同じ年数が経過したときの傷み具合には大きな差があるのです。風雨の影響も劣化の具合に大きな影響を与えます。さまざまな要因を含めた形で、間違いなく家は少しずつ傷んでいっています。ただし、築年数が浅い段階でそれに気付ける人は多くありません。特に表面的には綺麗であれば、少しも問題がないと思い込んでる人がほとんどです。しかし実際は綺麗に見えていても、内部の大切な構造が弱くなっているケースがよく見受けられます。もともと欠陥があった場合は、そこにダメージが加わり続けることで致命的な劣化を招くことになりかねません。
そのような状態であることに気付かず、はっきりと分かる形になってから対応したのでは遅すぎます。高い修繕費を支払っても完璧には直せないことも多いからです。したがって、新築でも点検を欠かさないことが重要なポイントになります。
点検期間の目安
とはいえ、どのような時期に実施すれば良いのか見当がつかない場合もあるでしょう。基本的に建ててから10年以内なら、基礎や壁といった主要部分の欠陥は売り主の責任で補修しなければなりません。それ以降に見つかると自分で負担しなければならないので、できるだけ早い段階でスタートさせるのが得策です。
10年は最終という意味での目安であり、普段の現実的な点検期間の目安は別にあります。新築の直後から3カ月と6カ月の2回は確実に実施しておきましょう。そこまでで悪い傾向が見られなけらばひとまず安心なので後は1年後と2年後に実施すると良いです。2年目以降に関しては5年目が一つの目安になります。なぜならシロアリ予防などの効果が切れる時期だからです。その時期に水回りを一緒にチェックしてもらっておくのも一つの手です。
保証期間を理解する
点検が重要だと分かっても、コストが心配でなかな実施に踏み切れないケースも珍しくありません。多くの人にとって、マイホームは一生で一番大きな買い物です。そのため、できるだけ大切に扱いたいと思っていても、購入時の負担が大きいと有料の点検はあまり依頼する気にはならないでしょう。特に多額のローンが残っていると、出費を上乗せしてまで実施しようと思うのは難しいです。しかし、点検のお金を節約したばかりに、ローンが膨らむ事態になることも十分にありえます。できるだけ傷んでから直したほうがお得だと考える人もいますが、それは正しい見通しとはいえません。劣化が進むにつれて修復にかかる費用は一気に大きくなることもよくあるからです。たとえ有料でも、こまめに実施しておくことがコストパフォーマンス的には最善であるケースがよくあります。
保証が切れる前にしっかり点検する
しかし、やみくもに実施するのは良くありません。保証期間に気を配ることで、かなり節約できることが多いからです。簡単にいうと、保証が切れる前にしっかり点検することがポイントになります。保証期間内であれば、たとえ修繕が必要になっても、その費用はハウスメーカーが負担するのが原則です。前述のように10年というのが一つの目安になるので、少なくともそれまでに大々的に点検してもらうのが望ましいでしょう。そう言うと、小さなハウスメーカーに依頼した場合、10年も経てば倒産している可能性が高いと懸念する人がいます。もちろんその可能性もありますが、だからといって保証が無効になるわけではありません。もし倒産したとしても、保険の法人によって保証は適用されることになります。
保証対象外の場合もある
このようなシステムなのである程度の安心感はありますが、保証される内容について詳しく理解している人は多くありません。10年という分かりやすい数字だけが印象に残り、肝心の内容を失念しているケースがよく見受けられます。どんなものでも無償で修繕してもらえると考えるのは間違いです。保証されているのはあくまでも建物の主要な部分などであり、すべてをフォローできるわけではないので注意しましょう。つまり、内容や箇所によっては保証対象外の場合もあるのです。
しかし、建築の素人が保証されるかどうかを細かく判断するのは難しいでしょう。そう感じるのであれば、構造的な欠陥かどうかを判断基準にしてください。修繕にかかる費用を支払ってもらえる可能性があると考えておきましょう。漠然とした解釈であることに違いはありませんが、新築住宅には保証があるという理解よりは幾分か良いでしょう。たとえば、屋根から伝わる雨どいを清掃しないことが原因で雨漏りが生じたとします。これは構造的な欠陥が原因で発生した雨漏りではありません。また、コーキングの断裂によって雨漏りが生じた場合も同様です。このように構造的な欠陥がない限り、基本的には保証されないことを知っておく必要があります。その他に、サッシや内装なども対象に入っていないので注意が必要です。ボイラーのような設備も保証されているのが一般的です。
新築住宅には保証がある
新築時からしばらくの間は保証があるはずです。10年という統一的なルールによるものではなく、ハウスメーカーや設備のメーカーが独自に設けるケースが一般的。家の引き渡しや契約の際にそれらの説明は受けているでしょう。ポイントとなるのは、保証期間が終わる前に該当箇所の点検を実施しているかどうか。異常があればすぐにアフターフォローを利用しましょう。修繕にかかる総費用を大きく抑えることができたり、点検が有料の場合でも総合的な金額を節約できたりするケースが多いです。
定期点検の主なチェックポイント
定期点検は業者のマニュアルに沿って淡々と進められていくのが一般的です。黙って見ている家主が多いですが、できるだけ自分も当事者として関わっていったほうが良いでしょう。自分が話をすると邪魔になると考えて、素直に引き下がっているのは得策ではありません。業者がどれだけ善意を持って取り組んでくれていても、こちらが気になっている点をすべて取り上げてくれるわけではないからです。したがって、自分で気づいた箇所も報告するスタンスで臨みましょう。それがきっかけとなって、詳しくチェックし直してくれることもあります。
自分で気づいた箇所も報告する
できるだけ効率的に実現したいなら、点検が実施される前にリストにしておくことが重要です。当日思い出そうとしても、いろいろと抜けてしまう可能性があります。直前になってリストを書くのが難しそうなら、普段の生活において気になった点をその都度メモしていきましょう。次の定期点検の日を明記しておき、前日に見やすくまとめ直すとか活用しやすくなります。また、重点的に点検してもらいたい箇所には付箋を貼っておくという手もあります。何が気になるのか書いておくと、それを見てスムーズに説明することができます。
ただし、自分でもなかなか傷んでいる場所を把握できないケースは珍しくありません。そのため、年数ごとに劣化が現れやすい場所を知っておくと参考になります。
柱や床などの木材の歪み
全体的に多いのは金属よりもやはり木材を用いている箇所です。そもそも床や柱に使われている木材は落ち着くまでに時間がかかります。安定するまでに2年ほどを要するといわれているので、点検の時期がそれ以降なら重点的に見てもらいましょう。その時点で歪みが大きいなら、それで固定となっているので自然に改善する見込みは少ないです。放っておいた結果、建具などに悪影響が生じているケースも珍しくありません。そのため、柱や床などの木材の歪みは大事なチェックポイントであると認識していおく必要があります。
5年が経つと、そろそろ壁紙や床のビニールクロスなどの寿命が尽きても不思議ではありません。遠目では分からなくても、よく見ると髪の毛のような細いクラックが入っていることも多いです。そのようなレベルであれば気にならないかもしれませんが、念のために点検してもらったほうが良いでしょう。なぜなら内部の構造に段差ができて、その影響で押し出されてクラックが入った可能性もあるからです。合板が左右に開いている程度なら、パテで埋めて貼り直すことで綺麗になります。
水回りの構造部分
10年経ったときに必ず点検してもらうべきなのは水回りです。食器洗浄機やトイレなどは、10年経つとランプが点滅して点検を促すものも多く見受けられます。単にメーカー側が点検の料金を目当てにしているのではなく、10年以降にトラブルが起こりやすくなるという事実に基づくものです。そのため、10年を区切りとして全体のチェックしてもらいましょう。その際にとりわけ重要なのは水回りの構造部分を見てもらうことです。床が水浸しになるような被害が起こると、修繕に途方もない金額がかかることになります。そのような事態を避けるため、多少の費用がかかっても点検を避けてはいけません。一度に実施するのが大変であれば、浴室は15年を目安にするという選択肢もあります。
いずれにせよ現時点で使えているからといって、ずっと使用できると安心しないことが大切です。水回りのトラブルは突然起こるものであり、生活できなような深刻な状況を簡単に作り上げます。トラブルは一瞬で起こっても、その原因は日頃から少しずつ積み上げられたものです。点検によって事前にそれを浮き彫りにして、トラブルに発展する前に対処しておきましょう。
まとめ
アフターサービスがしっかりしている業者を選ぶ
家の定期点検については、建て終わってから考えようとする人が多いです。しかし実際には、家を建てる前の段階で視野に入れておく必要があります。厳密には、ハウスメーカーなどの業者を選択する段階で考えておくことが大事です。なぜなら、業者によってケアしてくれる程度に大きな差があるからです。建て終わったら、ほとんどチェックしてくれないところも見受けられます。言い換えると、アフターサービスがしっかりしている業者を選ぶことがポイントになります。そう言われても、どうやって確かめたら良いのか分からないという人もいるでしょう。
その場合は、まず公式のホームページをチェックするのが基本です。アフターサービスには大きな訴求効果があるので、それを充実させている業者は大々的にアピールしています。もしホームページに一切書かれていないなら、大した内容は期待できないと考えても良いでしょう。できるだけ具体的に書かれている業者を選んだほうがリスクを減らせます。それだけ自信があるということだからです。また、口コミサイトを利用するのも有効な手段といえます。実際に利用した人の感想は、公式のホームページに書かれている内容より参考になるケースも多いです。たとえば、ホームページでは保証期間の長さをアピールしていても、口コミを見れば対象が極端に少ないと分かる場合もあります。もちろん匿名の口コミは信憑性が高いとはいえません。ですから完全に鵜呑みにするのではなく、あくまでも参考情報として捉えることが重要です。
これらの手段でも業者のスタンスが良く分からなければ、実際に問い合わせてアフターサービスについて教えてもらいましょう。もし説明をしたがらない場合は、その時点で候補から外しても構いません。できるだけ分かりやすく明瞭に解説してくれるところを選んでください。
不具合が起きやすい箇所を理解する
また、不具合が起きやすい箇所を理解することも重要なポイントです。そうすれば日頃からチェックの意識が働くようになり、不具合があれば点検前に気付けるようになります。事前に把握していると、その分だけ修繕に向けた交渉をしやすいです。たとえば壁紙や外壁のモルタルなどは、施工の仕方が悪いとクラックがすぐに入ります。保証期間内であれば、それらをすべて施工し直してもらうことも不可能ではありません。もちろん常識の範囲内で依頼することが大切ですが、大切なマイホームだからこそ妥協せずに済むように工夫しましょう。
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